自分の“お気に入り”のクルマで楽しみたい!!というのは、誰もが持っている“あこがれ”みたいなものでしょうか。
その「障害のひとつ」となるのが保安基準であり、車検ですよね。

何が良くて、何が良くないのかを理解したうえで、合法的にクルマを作っていかなければ・・・と思う次第です。
とは言え、すべてをクリアするには“ものすごい出費と手間と妥協”が必要になりますから、「規制緩和」でよく使われるようになった言葉を借りて、“使用者責任において他人の迷惑にならないカスタマイズ”を心がけていきたいと思います。

「既製品ではない“自分だけのスポーツカー”に乗って楽しむ」ということは、結構難しかったりしますよね?!
index  クルマの改造と保安基準
 車検に必要な装備
 変更しても良い部品
 
クルマの改造と保安基準
平成7年11月22日から、自動車部品などを取り付けるうえでの法律が、かなり緩やかになりました。いわゆる「規制緩和」ですね。
クルマを改造する、あるいはクルマにパーツを組み付けると言っても、その方法や種類は数限りなくあります。実際にはどんな場合が問題にならなくて、どこからが手続きが必要になるのか・・・は、なかなか難しいところです。はっきり言って、よくわかりませんよね。

クルマに手を加えることを法律的に見ると、次の4つのパターンに分けられるようです。
   1.手続きをしなくても、そのまま車検に通る。
   2.陸運支局に車を持ち込んで「構造等変更検査」を受ける必要がある。
   3.保安基準に定める「改造自動車」扱いになる。
   4.保安基準などにより、どのような手続きをしても認められない。

ちなみに「HDビート」は 2. に該当し、ただ今いろいろと苦労をしはじめています。
もし保安基準につてい詳しく知りたい場合は「道路運送車両の保安基準詳解」という本(厚さ5cm、1300ページ程度)がありますので、それを調べると良いと思います。
または、私のように一般的な書籍からその手の類の本を探す方が、わかりやすいとは思いますが。

法律において忘れてはならないのが“解釈”で、「法律はひとつであっても、解釈には何通りもできる」ので、場合によっては車検に通ったり通らなかったりすることがある・・・ということも、知っておかなければなりませんね。
車検に必要な装備
以前(20年以上前)は“その車種の最低グレード車の装備が、走行に必要不可欠な装備である”なんて言われてきました。
その頃のクルマの最低グレードと言えば、まさに最低限の装備でしたから、「パワステ」や「パワーウインドゥ」はもちろんのこと「エアコン」や「オーディオ」だってありませんでした。今では当たり前の装備である「ラジオ」や「デフロスター」だけでなくや「ヒーター」や「ワイパーウォッシャー」などが堂々と大きくカタログに書かれていましたからね。

ところで、“車検に必要な最低限の装備”を知っていますか。
安全に走るための装備はすべて必要になるのですが、たとえば「デフロスター」や「ワイパーウォッシャー」が無かったり機能しない場合は車検には通りません。逆に「スペアタイヤ」や「工具」はなくても問題にはなりませんから、ちょっとだけ不思議です。

要は、その状態で安全に走ることができるための装備なので、壊れたときなどのための装備は基本的には関係ないわけです。ただし、車検証に4人乗りと書いてあれば、当然のことながらその4人が安全に乗れなければならないのです。ロールケージやバケットシートがそれを妨げるようであっては、ならないのです。どこまでも安全第一なんです。
「デフロスター」もその1つの装備で、フロントガラスが曇ってしまっては安全に運転できませんからね。
また、衝突時の安全性より「インスツルパネル」も必要不可欠なパーツです。法律では“衝撃吸収素材を使用することが義務付けられています”から、自作のものではほとんど車検に通すことはできません。どうしても車検に通したいのであれば、数々の試験に合格するしかありませんが、通常ではかなり難しいようです。
一般的には適合品であれば問題が無いそうですから、その車種のものでなくても構わないので、市販車(=適合車)のパーツを使用すれば車検に通すことができるそうです。

内装については、現在では“難燃性の素材”であることが義務付けられていますが、「インスツルパネル」以外は取り去っても問題が無いようです。なぜならば、鉄板むき出しならば難燃材と同様になるからです。ただし、鋭い突起や安全でない形状のものがあってはなりません。
ビートは古い車ですから、実は内装に難燃材を使用していなくても車検に通すことができます。これは平成7年に法律が改正されたためで、それ以前の車両には適合されないからです。だから、手作りの綿素材のバケットシート表皮やドアの内張りでもOKなんですよ。

私のビートには「デフロスター」や「ワイパーウォッシャー」どころか「ワイパー」さえありませんが、通常では“保安基準”に適合させることができません。でも、屋根を一切持たず、フロントガラスも無いことを前提条件とすれば、問題はなくなるそうです。こんなところが、法律の考え方なんですね。
ちなみにビートは車高が低い(=ドア高さが低い)ので、屋根を一切持たないということであればドアは無くしても良いようです。これは乗降口に関する法律に関係しますが、またいで容易に乗り降りできればよいそうですから、ドアとしての部分を持たなくても良いということになるなんです。。
とは言っても、それには“構造変更等の届出”が必要になりますから、陸運局での厳しい検査?!に合格しなければなりません。カスタマイズの豊富なクルマには、とても大変なことなんです・・・ね。
変更しても良い部品
本来は「車検証」に書いてある内容に変更がある場合は、「記載事項の変更および構造変更申請検査」が必要になります。その内容としては、車体の形状・乗車定員・最大積載量・車両重量・長さ・幅・高さ、そして「保安基準に適合しなくなるおそれがある場合」がそれに該当します。
HE゛AT SPRINTの場合は、車体の形状や車両重量・幅が変更されているので、当然のことながら「記載事項の変更および構造変更申請検査」が必要になり、その検査を合格しております。(^O^)

ただし長さ・幅・高さ・車両重量に関しては、それら届け出をしなくても良い場合があります。それは「一定範囲」という条件の範囲内にあった場合です。
「一定範囲」とは、長さが±3cm・幅が±2cm・高さが±4cm・車両重量が±50kg(軽自動車の場合)というもので、パーツ等を取付けたときの寸法・重量の変化がこの範囲内であれば届け出などをしなくても良くなっています。これはどのような取付け方法でもOKで、たとえば溶接しても問題ありません。

「一定範囲」とは関係なく変更しても良い部品が「指定部品」と呼ばれるもので、エアロスポイラーから始まって、ルーフラック、サンルーフ、ショックアブソーバー、ステアリングホイールなど、その数80以上あるようです。中にはエアコンとか盗難防止装置といった、どう考えても保安基準に関係ないようなパーツまで含まれています。
この「指定部品」溶接やリベット止めといった簡単に取り外すことができない取付け方法(恒久的取付け)以外の取付け方法であれば、原則的に取付けてあっても届け出が必要なくなっています。要するに、届け出等の手続きが要らず、そのまま公道を走れるのである。
ただし、これは“保安基準に抵触しない”というしばりの中での話であり、こうしたことはすべて車検(正しくは継続検査)での話で、「使用者の責任において用品や部品を取付けているからこそ認められる」のだそうです。

【指定部品/抜粋】

■アクセサリー等の自動車部品
1.車体まわり関係の部品 エアロパーツ類(スポイラーなど)、ルーフラック、ラゲージキャリア、サンルーフ、コンバーチブルトップ、ロールバー、バンパー、アンダーガード、牽引フック、サンバイザー、ボディサイドモール、後方監視カメラ・・・など
2.原動機・排気系統関係の部品 リモコンエンジンスターター、エキゾーストパイプチップ/エクステンション
3.車室内に設置する部品 空気清浄器、エアコン、ナビゲーション、オーディオ、エアバッグ、盗難警報システム、無線機・・・など
4.その他 ナンバー取付けステー、任意灯火器類

■運行にあたり機能する自動車部品
1.走行装置関係の部品 タイヤ、ホイール
2.操縦装置関係の部品 ステアリングホイール、パワーステアリング、変速レバー、シフトノブ、身体障害者用操作装置の部品(限定あり)
3.緩衝装置関係の部品 コイルスプリング、ショックアブソーバー、ストラット、ストラットタワーバー
4.連結装置関係の部品 トレーラーヒッチ、ボールカプラー
5.騒音防止装置関係の部品 マフラー、排気管
6.その他の部品 規定灯火器類、ミラー

ただし、上記のパーツであっても「保安基準に適合しなくなるおそれがある場合」には届け出等が必要になります。たとえば、エアロスポイラーの先端形状がとがっているとか、サスペンションのスプリングを交換して遊びがあるのとか、ヘッドライトを交換して規定以上の明るさがある・・・などといった場合です。


次の場合については“改造自動車”に該当しますので、専用の届出書とともに添付書(普通の量ではありません!!)を必要とする「改造自動車」としての申請が必要になります。
   @エンジンは形式名の異なったエンジンに変更したり、排気量を変更した場合
   Aトランスミッションは異なる形式に変更したり、機械式のクラッチを電磁式に変更した場合
   B操縦関係では右ハンドルを左にしたり、2WSを4WSにしたり、ギアボックスやロッドの位置を変更した場合
   Cブレーキはドラム式をディスク式に変更したり、油圧式を空圧式に変更した場合
   Dサスペンションは種類(形式)を変更したり、サスペンションアーム等の寸法・材質・形状を変更した場合
   E燃料自体を変更した場合
   F動力伝達系ではプロペラシャフトやドライブシャフトの寸法や材質を変えた場合
   Gボディではモノコック構造の形状を変更したり、オーバーハング部の長さを変更した場合



ちなみにHE゛AT SPRINTの場合は、“モノコック構造の形状変更”には該当していませんので「改造車」としての申請の必要はなく、「構造変更申請検査」を含めた継続検査(車検)に合格してナンバーをいただいております。(^_^)
 【インターネット情報】  ホームページ  自動車点検整備推進協議会  もご覧ください。
※車検に通るということは“≒保安基準に適合している”ということです!!