冷却水の水路は大きく分けて2つの水路になります。ひとつはサーモスタットが開いてから流れ出す《ラジエターライン》で、エンジンの温度管理のほとんどを行なうクーリングをするための水路です。もうひとつはサーモスタットの開閉にかかわらず常時流れている《ヒーターライン》で、サーモスタットが閉じている際の循環路になっている水路で、ヒーターの熱源となっています。
純正部品として販売されている「水冷式/オイルクーラーユニット」は、常時循環している《ヒーターライン》の冷却水を使用しているためにクーリング効果が期待できないのでは・・・と思っている方も多いようです。
クーリング効果についてはそれほど高いわけではありませんが、油温よりも水温が常に下回っていますから、ラジエターの冷却能力さえ確保できていれば確実にエンジンオイルを冷却してくれることを忘れてはいけません。
もしも油温が上がりすぎる場合にはヒーターを作動させることにより、ヒーターユニットをラジエター代わりに使用することでクーリング効果を増すこともできるんです。
クーリング能力だけを見るとオイルクーラーとしては不十分と思われがちですが、ストリートでの使い勝手は非常に良好で、水温と油温がシンクロしてくれますからエンジンのウォームアップが早く出来ることもメリットのひとつですし、上下しやすい水温と上下しにくい油温を安定方向に導けることが最大のメリットではないでしょうか。
また「空冷式オイルクーラー」のようにオイルラインが必要ありませんので、オイル漏れや油圧低下の心配が少ないのもメンテナンスの上での大きなメリットになります。
それでも、峠やサーキットでガンガン走ってしまえば油温の上昇を抑えきれなくなるのは必然的で、それにより水温・油温ともに上昇していきますから、効率良くクーリングするためには“ラジエターの容量アップ”等が必要になることは間違いありませんね。
この「水冷式オイルクーラー」をより効率良く使用するためには、《ヒーターライン》の冷却水をクーリングするためのラジエターを設置するのが手っ取り早い方法なんですが、それですとオーバークールを起こす恐れもありますので注意が必要です。
レース等で使用されている“本来の水冷式オイルクーラー”の場合は、ラジエターを通って冷えた冷却水を使ってオイルをクーリングする(製品名としては「ヒートエクスチェンジャー」と呼ばれていることがあります)のですが、この方法であれば空冷式オイルクーラーと同様に高いクーリング性能を得られるわけですが、いろいろな状況下で使用する公道を走るクルマには不向きになってしまいます。
普通のビートではヒーターがありますから、夏場でもヒーターを全開にして作動しておけばクーラーユニットを循環する冷却水を冷やすことができますからそれなりにメリットが得られますが、HE゙AT SPRINTにはヒーターが取り付けられていませんので別のプランを考えてあります。それが下の図です。 |
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