クルマの性能は“タイヤの性能”で決まるといわれていますが、単純にはそうでなくても結果的にはそうなってしまいます。
そのタイヤの進化は著しいものがあり、「ホンダ ビート」が誕生した頃と比べたならば、驚くほどの性能の差が見られることを忘れてはいけませんね。
特にハイグリップタイヤを履いてスポーツドライビングを楽しもうとするならば、それなりにボディやサスペンションをチューニングしておくことが、より安全に楽しむために必要だと考えています。

また“ケミカルの性能”も大きく進歩していますから、現代のオイルやクーラントなどを上手く活用できたならば、クルマの性能を大幅に上げることができるかも知れません。
そのためにはある程度の知識も必要になりますから、それらの勉強も必要だと思いますね。

HE゛AT DRIVERでは、ストリートを思い切り楽しめる“スーパースポーツ仕様”を目指しています。
index  スポーツ軽カーのタイヤ選び!!
 スポーツカーとしてのエンジン管理温度!!
 気を抜けないエンジンオイル管理!!
 
スポーツKカーのタイヤ選び!!
『ビート』や『AZ-1』などの“スポーツKカー”に乗っている方たちが嘆いていることのひとつが、タイヤの選択肢の少なさだと思いますがいかがでしょうか。
そこで、現在販売しているハイグリップタイプおよびスポーツタイプのタイヤを調べてみました。
 ※下表/2014年1月時点での集計です。

それにしても国産品・輸入品を問わずあまり発売されていないうえにサイズがそろっていませんから、必然的にタイヤが決まってしまいそうです。
あくまでもスポーツドライビングを楽しむためのタイヤを前提にしていますから、走りよりも乗り心地を重視しているコンフォートタイプのタイヤは含まれておりませんのであしからず。

『ビート』ではフロント:13インチ+リヤ:14インチの異径ホイールですが、フロント・リヤともに14インチのホイールであったとしても理想的な選択肢は少ないようです。
『AZ-1』のようにフロント・リヤともに13インチですとさらに苦しくなりますから、必然的に14インチにサイズアップして使用する方が良いと思いますね。

それからフロント・リヤのタイヤ外径を変えることでステアリング特性をコントロールできますから、ミッドシップのスポーツカーではフロント用よりもリヤ用のタイヤ外径を大きくする方が乗りやすくなると言われています。
『ビート』ではもともとフロント・リヤで異径のタイヤ&ホイールを採用していますから当たり前になっているセットアップですが、フロント・リヤとも同じサイズの『AZ-1』でも『ビート』のようにタイヤ外径をフロント・リヤで変えることによって乗りやすくなることと思いますよ。(^_^)


『ビート』のフロント用および「AZ-1」の標準仕様のタイヤサイズを選ぼうとすると155/65-13になりますが、このサイズでは「ダンロップ ディレッツァDZ101」しか選べませんから、よりスポーティに走ることを考えたならば65扁平よりも60扁平のタイヤの方が好ましいので155/65-13よりも165/60-13が適当だと思います。
もしインチアップして14インチにしている場合には155/55-14または165/55-14というタイヤが選べますが、その際にはドライバーの好みが分かれるところでしょうが私としては165/55-14をおすすめしたいですね。

『ビート』のリヤ用の標準仕様のタイヤサイズを選ぼうとすると165/60-14になりますが、このサイズのタイヤはスポーツタイプでは既に作られていませんからサイズアップしなければなりません。となると175/60-14または185/55-14になるのですが、ハイグリップタイプならば175/60-14を選んだ方が良いと思いますが、一般的なスポーツタイプならば175/60-14でも185/55-14でも悪くないと思います。
『AZ-1』のリヤ用にも同様に考えていますが、もともとのタイヤの直径とターボパワーを考慮すると175/60-14よりも185/55-14の方が好ましそうですね。

タイヤ
サイズ
ホイール径 13インチ 14インチ 備考
トレッド幅 155 155 165 165 175 155 165 185
扁平率 65 60 60 55
ヨコハマ アドバン   ネオバ(AD07) ハイグリップ
タイプ
ブリジストン ポテンザ   RE−11A
ポテンザ   RE−11
ポテンザ   RE−01
ダンロップ ディレッツァ  ZU
ATR ATR-K  SPORT
クムホ エクスタ   V700
ヨコハマ Sドライブ スポーツ
タイプ
ダンロップ ディレッツァ  DZ101
トーヨー DRB
ファイアストン ファイアホーク ワイドオーバル
グッドイヤー レブスペック RS−02
フェデラル SS595
ハンコック ヴェンタス  V8RS
クムホ エクスタ   SPT
ナンカン NS−2

HE゙AT SPRINTではフロント・リヤとも14インチにしていますが、タイヤ幅は広い方がカッコいいですし、リムガードが付いている方が見栄えが良いと思っていますから、フロント・リヤともに55扁平のタイヤを好んでいます。
そうすると履けるタイヤサイズとしては“フロント:165/55−14&リヤ:185/55−14”というセットアップが最有力で、私としてはかなり気に入っています。

それ以上に扁平化(=50扁平以下)するとスポーツタイヤ(特にハイグリップタイプ)では乗り心地だけでなくロードホールディング(≒路面への追従性)が悪くなりますから、サーキットならばメリットもあるでしょうが荒れた路面を避けられないストリートでは走りを楽しみづらくなる場合もあると思います。
なのでストリート仕様の超軽量なスポーツKカーとしては、60扁平または55扁平あたりが適していると思いますよ。


いくら優れた性能を持ったスポーツカーであったとしても、そのクルマの運動性能はタイヤで決まってしまいます。
ハイグリップタイプと一般的なスポーツタイプのタイヤとでは発揮される性能差が大きいですし、タイヤ幅が広ければグリップ力が必ずしも高くなるわけではありませんから、自分の好みや乗り方・走り方にあわせたセットアップが必要になります。
よ〜く考えてタイヤを選択していただきたいと思います。

タイヤの性能を活かすためには、ドライバーの技術だけでなくクルマのチューニング&カスタマイズも欠かせません。
サスペンションはタイヤの性能を左右する重要なパーツであることはよく知られていますが、それだけでなくサスペンションの性能を左右するボディ剛性にも気を配って、よりタイヤの性能を発揮できるクルマに仕上げて欲しいと思います。


私たちの“スポーツKカー”に履けるタイヤは少なくなりましたが、そのサイズばかりを気にして乗用車用のコンフォートタイプのタイヤを履くのではなく、スポーツカーに適したスポーツタイプ(ハイグリップタイプを含む)のタイヤを履くことをおすすめします。
また標準仕様のサイズに固執せずに、自分に合ったタイヤを選んで新たな走りを楽しんで欲しいと思います♪
スポーツカーとしてのエンジン温度管理!![ビートの場合]
高いエンジン性能を発揮させ、それを持続させるためには、エンジンの温度管理が必要不可欠です。そのためには水温と油温を上手く管理する必要でありますが、どちらか一方だけをコントロールしても問題の解決にはなりませんから、理想的には相互の影響を考えながらチューニングとカスタマイズを進めていきたいですね。

スポーツカーとして考えるならば、いろんな状態で走ることが考えられますから、どんな場合にも安心して楽しめる仕様が望ましいと思います。
しかしながら、もともとのクーリング性能が低い市販車ですから、この点も良く考えてドライバーの乗り方や走り方にあった改善方法を考えていくようにしたいですね。

エンジンの摺動部を潤滑するとともに冷却しているエンジンオイルの油温管理については次のコーナーを説明しなおすこととして、ここではエンジン冷却のメインとなる水温管理に着目していきます。
水温管理において大切なことは、エンジンの発生する熱量をラジエター等で上手く放熱することですが、そのためには「ラジエター」の容量だけではなく、「サーモスタット」や「電動ファン」の作動温度を含めたトータルでのチューニングが必要になります。

そこで考えなければならないのが“エンジンの管理温度”で、何度でエンジンを管理するのかというところです。
市販車の場合は水温を高め(90〜100℃程度)に設定してシリンダー内の燃焼室温度を上げることがで、薄い燃料でアイドリングできるようになり、その結果でアイドリング時の有毒物質を減少させることができます。しかしながらこの状態ではスポーツカーに必要な出力効率が期待できませんし、高回転・高負荷時の水温上昇は避けられません。
そこでフィーリングの良いエンジンを目指すならば、水温を低め(80〜90℃以下)に設定する必要が出てくるというわけです。

「ラジエター」については先に言いましたように市販車においてはスポーツドライビングを十分に楽しめるような容量を持っていませんから、エンジンで発生する熱量を上手く放熱させることはできません。これは容量の問題だけではありませんが、手っ取り早い方法としてはラジエターの容量アップは確実な冷却性能アップにつながります。
最近のクルマはほとんどアルミ製のコアを持つタイプになっていますが、『ビート』のようなクルマでは銅製のコアですから冷却能力としては若干劣ります。確かに銅製のコアは自己放熱性に優れているといわれていますが、所詮は小型で容量の小さいラジエターですから、熱くなれば電動ファンのお世話になることになりますので、そりを前提にするならば熱伝導性の高いアルミ製のコアの方が冷却能力としては期待できますね。

「ラジエター」を作動させるのが「サーモスタット」というバルブなんですが、冷却水の温度に応じてこのバルブを開いたり閉じたりしてくれるわけです。言い方を変えれば流量をコントロールすることで、エンジンの水温管理をしてくれるわけです。
このサーモスタットは『ビート』の純正品では作動開始温度が76〜79℃で設定されていますから、完全にバルブが開く温度はそれよりも10℃以上高い温度となり、これではエンジンの管理温度が高くなって当たり前なんです。そこで作動開始温度が低い「スポーツサーモスタット」を使用することで、エンジンの管理温度を低くすることが出来るようになります。

「スポーツサーモスタット」は作動開始温度が低いことで、完全にバルブが開く温度も低くなりますから、循環する冷却水の温度を下げることが出来るようになります。もちろん作動開始したからといってバルブが全開になるわけではなく、温度に応じて徐々にバルブを開いていく(コントロールする)わけです。
さらにノーマルのサーモスタットと違い温度管理(バルブのコントロール)の性能が高くリニアですから、こういった点から考えると高温になりやすいエンジンには便利なパーツだといえます。

今までよりも低い温度で冷却水をラジエターに流すことになっても、それを十分にクーリングできなければ意味がありません。そのためにはラジエターの容量アっプが必要になることもありますが、忘れてはいけないのが「電動ファン」の存在です。
高速で走っている場合にはラジエターが十分に機能し、より高い冷却効果が得られることは誰でも知っていることでが、そうでない場合にはファンがラジエターの冷却を助けているために、管理温度を下げるためにはサーモスタットとともに電動ファンの作動温度を調整しておかなければなりません。そこで作動開始温度が低くなる「スポーツサーモスイッチ」を使って、リニアにファンを作動させてラジエターの放熱を促すわけです。

「スポーツサーモスイッチ」はラジエターのロアタンク等に取り付けられていて、水温を検知して電動ファンを作動させるスイッチです。製品によって作動温度が異なりますが、通常は90℃前後が一般的なところだと思います。
「スポーツサーモスイッチ」では80℃で作動しますから、エンジンから放出される冷却水の温度が85〜90℃になると電動ファンが作動し始めることになりますから、理想的かつ現実的な水温管理に近づけられることができますよ。


こうした冷却効果を調べたデータによれば、もっとも効率的にパワーを発揮できる冷却水の温度は約70℃になるのだそうですが、それ以上になると吸入空気が水温の影響を受けて吸入温度が上がってしまいパワーが発揮しづらくなります。
気体は温度が上がると膨張して容積率が低下(密度が薄くなる)してパワーが出せなくなりますが、エンジンのパワーを効率よく発揮させるためにも水温管理は大切な要素であるといえます。
逆に水温が低くなりすぎた場合にはエンジンを制御するコンピューター(ECU)が危機回避の対策をとることも考えられます(一般的には水温は75℃以上が必要です)ので、それも注意しなければなりません。

エンジン冷却のメインとなるのは冷却水ですから、その温度管理をいかに効率良く行なうかは、エンジンパワーを引き出すことにもつながります。こうした走りに関連する要素はスポーツカーには大切なポイントですから、エンジンチューニングと同じレベルで考えていきたいものですね♪
気を抜けないエンジンオイル管理!!
水温管理とともに怠ってはいけないのがエンジンのオイル管理で、オイルの定期交換はもとより、油温の管理をも考えていかなければなりません。
そもそも“エンジンオイルの有効温度域の上限は105℃”と言われていますから、その温度までしか性能を発揮できませんし、その温度を超えると急激に劣化することになります。

『ホンダ ビート』でいうならば時速100キロで巡航するだけで油温はあっという間に100℃を超えて、もう少しスピードを出したならば簡単に105℃を超えてしまうのが現実です。なので高速道路で少し飛ばしてしまうと、即オイル交換の必要性があるというのが当たり前の状態です。
小さな排気量のエンジンはパワーを出すために高回転で回しますから、エンジンの発熱量も小さくは無いというわけです。さらにエンジン自体の温度上昇よりも早く油温が上がりますから、冷却水だけの温度管理では十分といえないわけです。

こうした油温上昇を効率良く抑える方法としては、直接的にオイルを冷やすことのできるオイルクーラーが理想的です。その中でも走行風を利用して冷却する「空冷式オイルクーラー」ではなく、冷却水を利用して冷却する「水冷式オイルクーラー」が好まれるところです。
これはどんな場合においても安定した冷却能力を提供してくれるからで、レーシングカーにおいても使用されるほど高い効率を発揮してくれます。

うちで販売している「エンジンオイルクーラー」もそのひとつですが、この製品に使用されるオイルクーラーユニットは2000ccクラスの乗用車に使われている純正部品を流用したタイプですから、冷却性能自体は大したことがありません。しかしながら常時循環水を使用して冷却しているために、水温とリンクされ相互の温度管理を促してくれるなどのメリットもあります。
また上がっていく油温を10℃近くも下げられる性能を持っていますから、高性能オイルと組み合わせて使うことでオイルの劣化を最小限に抑えられることになり、エンジンの寿命を延ばすことにもつながります。

またエンジンオイルの容量を増やすことも温度管理にも有効で、「オイルパンスペーサー」を取り付けることにより600〜800ccの容量アップしますが、それによって「エンジンオイルクーラー」と同じくらいの冷却性能を発揮できることもあります。
これはクルマの乗り方・走り方によって大きく変わりますが、スポーツドライビングを楽しんでいる方の場合には「オイルパンスペーサー」と「エンジンオイルクーラー」を併用することで効果的なエンジンオイルの温度管理ができるようになると思いますよ。


オイル管理の第一歩は“オイル交換”からだと言われていますが、最近のオイルの性能は見違えるほど高くなっていますから妙に安心できるものがあります。
それでも過酷な状態で使われているオイルの定期交換はエンジンを守るための大切なメンテナンスですから、距離や周期だけでなくエンジンの使われ方なども考慮して、適切な時期を見計らって行いたいものです。
エンジンオイルを選ぶ際に気をつけなければならないこととして、潤滑性能が高いオイルだからといって必ずしも安心できるものではないということです。レーシングオイルの一部の製品では高い潤滑性能を発揮するものの、その反面でオイルシールを傷めてしまう成分が強いものもありますから、よく考えて使っていただきたいと思います。

エンジンオイルは消耗品と考えずに“エンジンを構成する部品のひとつ”であると考えて、自分の乗り方や走り方にあったオイルを選んでいきたいものです。
そのエンジンオイルを活かすために必要なのが油温管理というわけで、それがエンジンを守るとともに活かすことになるのは言うまでもありません♪
※チューニングは決して万人向けのものではありませんが、速さを求めるものでもありませんよ。